黒柄カトラリー #2250

当時、佐藤商事の開発部長だった秋元氏から「どこからも真似されない、真似出来ないデザインをお願いしたい」との依頼を受けて、デザインが始まりました。

柄の部分にはカバ材積層強化木(※)を使用しています。当初はステンレス本体の柄を積層材でサンドイッチするアイデアでしたが、これは一般的な工法でした。そこで、無理を承知で積層材そのものを柄にするアイデアを提示しました。この製法には、ステンレス部分の厚みの変化や柄と皿の接合加工など多くの課題がありました。しかし、工場側がその革新的なデザインに魅了され、前向きに捉えてくれたことから、現場の技術者や職人たちと試行錯誤を繰り返し、1982年に製品化に至りました。

ステンレスの皿部と積層材の柄部の継ぎ目は、一体のように段差がなく、流れるような美しい形状をしています。ただし、硬いステンレスと軟らかい木を滑らかに磨きあげる作業は、高い技術を持つ限られた職人にしかできず、量産が難しいため非常に高価な製品となりました。

皿部は鍛造という製造方法で、加熱した金属を何度も叩いて少しずつ厚みを変えながら形作っていきます。そのため、従来の薄いステンレス板からつくられたカトラリーとは口に入れた時の感触が全く違います。

柄の部分は柔らかい持ち心地で飽きがきません。また、お皿と柄の絶妙な重さのバランスがちょうどよく手に馴染み、料理を心地よく口に運ぶことができます。手に、口に、使い心地の良さを考えかれたこのカトラリーは、和洋中問わずどんな料理にも相性よく使えるデザインとなっています。

※積層強化木とは、合成樹脂を木材の薄板に含浸させ、これを何枚も重ね合わせて高圧のもとに加熱圧縮してつくられた素材です。木の繊維と合成樹脂が結合し、高い硬度と強靱性を備えています。通常の木材にありがちな劣化の問題を解決しつつ、美しい自然の木目はそのままに保っています。

販売元 : 佐藤商事