• 京都五条坂窯

黒土瓶(京都五条坂窯)

この角型の黒土瓶の発想の原点は、駅弁と一緒に売っていた陶器製のお茶の入れ物(土瓶)でした。駅弁売りの箱に入れやすく、デッドスペースも少なくてすむよう四角い形で作られたお茶の入れ物にヒントを得たようです。

石膏型による排泥鋳込み成形技術を使い、陶芸家・河井寛次郎の窯(京都五条坂窯)で焼成されました。なぜ柳が河井の窯で黒土瓶を作ろうと思ったのかは定かではありませんが、気心の知れた河井の窯には、河井自身も用いた排泥鋳込み成形技術があったことや、柳が好んだ黒秞があったこと等の理由が考えられます。ただ、登り窯で焼成したこともあって窯内部の温度が一定せず、柳が求めた一定のクオリティーで大量生産するには程遠い結果となり、製品化には至りませんでした。

柳宗理は黒土瓶に大変思い入れがあり、晩年に出西窯で復刻。現在は出西窯のディレクションシリーズの一つとして販売されています。