トイレットペーパー・ホルダー

  • Year
    1975
    Manufacture
    寺岡精工所
    Category
    工業製品

寺岡精工での仕事というと秤が有名ですが、当時の社長・寺岡武治氏は常に新しいアイデアを模索しており、その実現を柳に依頼することも多々ありました。そのうちの1つが「トイレットペーパーホルダーPON」です。

寺岡氏のアイデアを元に、シャワー室とトイレを兼用する場合に水がかかっても問題なく、また、トイレットペーパーのロールを放り込めばそのまま使えるような仕様で、デザインが進められました。

柳の石膏模型を基に金型を作り、サンプル出荷が行われましたが、ロールが少なくなると紙を引っ張った時に飛び出てしまう、という問題点が出てきました。また、フタを開けなければ紙の残量が分からないことが、シャワー室以外で使うには大きな欠点となってしまいました。

修正が難しく、「このデザインと発想は早すぎた」と判断され、販売には至りませんでした。機能的には問題だらけのトイレットペーパーホルダーとなってしまいましたが、巻貝を連想させる有機的な形状は、柳ならではのデザインです。