• ベンチ
  • 背もたれサポーター
  • 消火栓
  • 時計
  • 壁画「港の精」
  • 水汲み場(左)、水飲み場(右)
  • 電話ボックス
  • 自動券売機
  • 自動精算機
  • 売店

横浜市営地下鉄の設備群

1972年の横浜市営地下鉄開通にあたり、自動改札口、自動券売機・精算機、売店、電話ボックス、プラットフォームの時計や消火栓、水飲み場と水汲み場、ベンチ、背もたれ、ゴミ入れ、灰皿、広告ケース等、諸々のファニチャーや設備一式をトータルにデザインし、パブリック・デザインの先駆けとなりました。

柳の造形へのこだわりが時として周りの人を困らせることも多々ありましたが、当時の飛鳥田一雄横浜市長の右腕・企画調整局長を務めた田村明氏(都市設計家)は、「普通の歩道橋に比べコストが数倍掛かるかもしれないが、こういうものは文化的に残ってこそ価値がある」と、柳のデザインを後押ししたそうです。

空間と時間、行政手続き等の制約が多いなかで、行政とデザイナーが協力し合うことによって、身近な市民生活に係るデザインの有意義性について示した早期の実例ではないでしょうか。柳は飛鳥田さんそして田村さんお二人のことを、デザインする上では欠かせない優秀な協力者であり、社会的にも必要な理解者だったと言い続けていました。

壁画「港の精」は、GRC(Glassfiber Reinforced Concrete;ガラス繊維補強コンクリート)製で、柳と事務所スタッフの共同作業により製作したものです。セメントが流し込まれた型枠に板を渡して、その板の上に乗った柳が竹べらを使って波のうねりを実際に削り描きました。この壁画(中心部)にある金属レリーフの原案は、柳が学生時にデザインした人魚像の写真コラージュからきたもので、横浜をイメージする青い波にそれを取り込みました。