• 松村硬質陶器初期シリーズ(1948)
  • 「楕円皿KIKYO紋」松村硬質陶器(1948)
  • 「シュガーポット カップ&ソーサー ティーポット クリーマー」松村硬質陶器N型(1952)
  • 「水差し サラダボウル キャセロール」松村硬質陶器N型(1952)
  • ボーンチャイナシリーズ ニッコー(1990)

ボーンチャイナシリーズ

1948年、柳は戦後間もない日本でインダストリアル・デザインの研究を始めます。デザインという言葉がまだ一般に認知されていない時代でした。物資も不足する中、完成したのが初期の『松村硬質陶器シリーズ』でしたが、模様付きの陶器が一般的だった当時の国内市場では“白い陶器は半製品”と言われ中々理解されませんでした。当時は模様がある陶器が一般的でしたが、実は質の悪さを色や模様で誤魔化したものも多かったのです。
当初は模様がないことから半製品と文句を言われ、「便器でコーヒーを飲ませるのか」と言われたこともあったようです。それがいつしか白い器は「シンプルでいい」となり、今では「ふつうに家にある」世の中に変容しました。

初期の松村硬質陶器シリーズには『KIKYO』と名付けられた絵付きの一群もありましたが、これは模様付きの陶器が一般的だった当時の市場の要望に応えたものとみられます。柳は「無地なら良いということではなく、これはこれ(模様)があって完成なんだ。」と言って回りを驚かせました。そのことがその後デザインする染付和食器シリーズにも通じています。

1952年、柳はかねてより手掛けていた松村硬質陶器シリーズのうち初期ポットを改良した新型(N型)ポットが含まれるコーヒーセットを発表します。以降このシリーズは松村硬質陶器の『N型シリーズ』として、さまざまな雑誌や新聞に取り上げられ人気を博すことになりました。

『ボーンチャイナシリーズ』は、『N型シリーズ』の材料をボーンチャイナに替えて復刻したシリーズです。西武百貨店のプライベートブランドJC(Japan Creative)からの依頼により開発されたもので、素材を硬質陶器からボーンチャイナに替え、製造上の制約にあわせてディテールの改良が加えられました。