• バタフライスツール(初期)
  • バタフライスツール(初期)
    脚の底面が平らな畳摺りタイプ
  • バタフライスツール旧大(天童木工)
  • アクリルバージョン
  • バタフライスツール新大(天童木工)
  • ボンベダルフ社
  • 現行の天童木工版
  • 現行のvitra版

バタフライスツール

この椅子は紙を切る、折る、曲げるといった手遊びから生まれました。様々な形を考えるうちに、これは椅子になるのではないか、そう考えた柳は、当時の日本ではほとんど知られていなかった成形合板技術に着目します。
合板に曲げを加えることで強度が増すという点に気が付き、座面と脚とが一体化した2枚の合板を金具で繋ぐというバタフライスツールの形を思いつくのです。
1954年に仙台の産業工芸試験所(元・工藝指導所)東北支所にて、当時成形合板を研究していた技術者の乾三郎と出会います。基本的な技術研究を産業工芸試験所で行いつつ、製作については乾の指導により日本で初めて成形合板を実用化した山形県の家具メーカー天童木工が担当し、3年の歳月をかけてバタフライスツールは完成しました。
当初バタフライスツールには、脚の底面が平らな和室向けの「畳摺りタイプ」と欧米型住宅の板の間向けの「4点支持タイプ」の2通りがありました。
1950年代の国内の住宅は畳間がほとんどでしたが、終戦から10年が経った日本が経済発展の兆しを見せる中で、欧米の生活を取り入れた居住空間が一般に広がることを、柳は予見していたのでしょう。
現在は天童木工とVitra〈ヴィトラ〉社(スイス)で販売をしています。

(写真提供: 天童木工, Vitra)